遺言の保管と執行 |
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■ 遺言の保管 |
遺言は書面で書き残す事になっていますが、遺言書に記した自らの意思を実現するためには、その遺言書を相続人に見つけてもらう必要があります。
発見してもらえなければ、折角作成した遺言は何の効果もありません。従って、遺言書は遺言者が亡くなった後に、相続人らがすぐにわかるような場所で、かつ隠されたり勝手に書き換えられたりする心配の無い場所に保管しておく必要があります。
一般的に保管場所には、次のような場所が挙げられます。
○公正証書遺言の場合
公正証書による遺言は、遺言書の原本が公証役場に保管されています。従って、相続人らに遺言書を作成してある公証役場の場所を伝えておけば十分です。
遺言書の存在が明らかになっても、相続人らが公証役場を訪れて遺言書の内容を教えて欲しいと要求したり閲覧を請求したりしても、公証人がこれに応じることはありません。
○法務局に保管してもらう (2020年7月スタート)
自筆証書遺言を法務局で保管する制度が始まります。紛失・隠匿・改ざん等の心配がなく安心です。 従来は自筆証書遺言は遺言者の死亡後に家庭裁判所の「検認」が必要であり、検認の手続きが煩雑で敬遠されておりましたが、法務局で保管した遺言書は「検認不要」となります。遺言者の死亡後に相続人は遺言書の写しの交付を受けて、相続手続きに取り掛かかることができます。
○第三者に頼む場合
自筆証書遺言の場合は親族等に預けることも可能です。しかし、法定相続人など遺産に利害関係のある方に預ける場合には、隠匿、改ざんの恐れがあるほか、トラブルの火種を預ける事になりかねません。
このため、極力、遺産に何の利害関係がない、公正な第三者に保管してもらうようにしてください。遺言で遺言執行者を定めた場合には、遺言執行者に預けておくのが適当です。
埼玉遺産相続相談センターでは、遺言作成のサポートから、保管・執行と公正な第三者として、そして国家資格者としてお手伝いさせていただく事が可能です。お気軽にご相談ください。
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■ 遺言の執行 |
遺言書には、家庭裁判所の「検認」が必要なものがあります。
・自筆証書遺言 検認が必要
・自筆証書遺言(法務局で保管したものは、検認不要)
・公正証書遺言 検認不要
・秘密証書遺言 検認が必要
検認の際は、指定日に原則相続人全員が家庭裁判所に集まり、本人が作成したものに間違いないことを確認します。
検認が終わると、いよいよ遺言内容を実現させることになります。遺言書を実現するにはさまざまな手続きがあり、遺言ではそれを執行する遺言執行者を指定できることになっています。
遺言執行者は必ずしも指定しなければいけないものではありませんが、登記の申請や引渡しの手続き、不動産を遺贈するなど、遺言執行者がいなければ実現に手間がかかる事が沢山あります。
遺言ではそうした遺言執行者を指定したり、第三者に指定を委託したりすることができるのです。
遺言執行者の指定は遺言の中だけで認められていて、生前の取り決めは無効になります。職務が複雑になると予想される時は、遺言執行者を複数名指定しておくことも可能です。
また、遺言で指定を受けた人が遺言執行者を辞退することも認められています。遺言に指定がなかったときは、相続人や利害関係人が家庭裁判所で選任の請求を行います。
遺言執行者は誰がなってもかまいません。財産を実際に相続する人を遺言執行者に指定して、その人が手続きを執行するということでも良いですが、法律知識を
必要とする場面もありますので、できれば行政書士、司法書士、弁護士などの法律専門家に依頼するのが良いでしょう。遺言執行者は選任を受けると早速遺言の
実行にとりかかることができます。
○遺言の実行手順
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遺言者の財産目録を作る。
財産を証明する登記簿、権利書などをそろえて財産目録を作り、相続人に提示します。 |
A |
相続人の相続割合、遺産の分配を実行する遺言に沿った相続割合の指定をして、実際に遺産を分配する。また、登記申請や金銭の取立てをします。 |
B |
相続財産の不法占有者に対して明け渡しや、移転の請求をする。 |
C |
遺贈受遺者に遺産を引き渡す。
相続人以外に財産を遺贈したいという希望が遺言書にある場合は、その配分・指定にしたがって遺産を引き渡します。この際、所有権移転の登記申請も行います。 |
D |
認知の届出をする。
認知の遺言があるときは、戸籍の届出をします。 |
E |
相続人廃除、廃除の取り消しを家庭裁判所に申し立てる。 |
遺言執行者はこのような職務をこなしていかなければなりません。
調査、執行内容は相続人に報告していく義務がありますが、執行が済むまではすべての財産の持ち出しを差し止める権限を持っています。
相続人は、遺言執行の職務を終了したとき、それに応じた報酬を遺言執行者に支払います。
その報酬額は遺言でも指定できますが、家庭裁判所で定めることもできます。
○こうした手続きの依頼(専門家に依頼するには?)
遺言執行など複雑な手続きの処理をまかせるなら、やはり専門知識をもった行政書士等の専門家にその職務を依頼することが望ましいでしょう。
様々な場面で法的な判断が求められるほか、名義変更などの際にいちいち専門家を訪ねて依頼をしていく必要がありません。また自筆証書遺言、公正証書遺言を作成する際のアドバイスをもらう事も可能となります。
埼玉遺産相続相談センターにおいても行政書士による一括サポートが可能です。お気軽にお問合せください。
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■ 遺言の取り消し |
遺言者が遺言書を作成後、時が経つのや心境の変化などにより遺言の取り消しをしたいと思った場合には、遺言者は誰の同意もなく、いつでも自由に遺言書の内容を変更したり取り消したりすることができます。
これは、民法により「遺言者はいつでも遺言の方式に従って、その全部または一部を取消すことができる」と定められています。
○遺言の全部を取り消す場合
<遺言書の破棄>
自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合は、自ら遺言書を破ったり、消却することで遺言の全部を取り消すことができます。
ただし、公正証書遺言の場合には原本が公証人役場に保管されていますので、手元の正本や謄本を破棄しても、遺言を撤回したことにはなりません。
<新たな遺言書の作成>
内容が矛盾する新たな遺言書を作成することで、遺言は取り消されます。日付の新しい遺言書が存在する場合、前の遺言書は取り消されたものとみなされます。
<以前に作成した遺言書を取り消す旨の記載をした遺言書の作成>
「平成○年×月△日作成の遺言は全部取消す」というような、以前に作成した遺言書を取り消す旨を記載した、新しい遺言書を作成する。
○遺言の一部を訂正、取り消す場合
遺言書に訂正文と署名、捺印が必要です。
訂正の場合は、訂正する個所を二本線で消し、その横に訂正後の文言を記入します。さらに訂正個所に印鑑を押し、欄外に「〜行目、〜字削除、〜字加入」と記載し、署名します。
間違えてしまうと無効になってしまいますので、自信の無い場合は初めから書き直す方が無難かも知れません。
<以前作成した遺言書の一部を取り消す旨の記載をした遺言書の作成>
「平成○年×月△日付遺言中の〜〜の部分の遺言は取り消す」というような内容の遺言書を作成することで、遺言の一部を取り消すことができます。
<新たな遺言書の作成>
一部を訂正した新たな遺言書を作成することで、遺言書の一部を取り消すことができます。日付の新しい遺言が存在する場合、こちらが優先されます。
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